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TWシルバーレイン内「山田・アスカ」の日記 ゲーム名に聞き覚えのない人は要注意。
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 思っていたところに全体。
逃した・・・。
















 信州・某高原
 
空の高くなるこの季節。
すっきり晴れ渡った青空をバックに、不機嫌そうにジッポーの蓋を開けたり閉めたりする男がひとり。
「こういう仕事ってさ。日本人がやってんのっておかしくねぇ?」
「大丈夫。お前も黙ってりゃ日本人には見えないから。いや、何人かわかんないから」
 純白のタキシードに身を包み、耳にかかる髪をすっきりと纏められたアスカが、黒いタキシードを着た兄を見上げる。
 アスカとは腹違いの兄に当たる黒髪の男は、どこまでもアスカとは対照的だった。
 甘ったるいタレ目のアスカとは違い、冷たい印象の切れ長の目。さらさらの黒髪。色白で、アスカが見上げる程度はある長身。彫りの深い顔立ちは、アメリカ国籍のラテン系日本人の母から受け継いだものだろう。
「つーかアスカ、純日本人じゃねーじゃん。親父さん、イギリス人の血が入ってるとか言ってなかったっけ?」
 二人の一歩後ろから、こちらは私服の星児が首をかしげながら聞いてくる。
「知らね。どーでもいいし」
 めんどくさそうに答え、袖のカフスを整える。
 自分の生まれに対しても興味なさそうに溜息をつくアスカに、深いワインレッドのドレスを着たユエリが近づいてきて
「どうしたの?めんどくさいだけじゃなくて他にも渋る理由があるみたいだけど?」
「いや、ひたすらめんどくさいだけだよ?なんでわざわざ牧場なんだよ。スタジオで十分じゃね?」
「時代は巡るって言うだろう?30年ほど前のリゾートウエディングといったら高原のチャペルが定番だったらしい。俺はまたその時代が来ると思ってるんだが」
「なるほどわかった。お前の思い込みだ。俺は次こそ温泉ウエディングだと思うぜ。熱海あたりで。それに正装って着るのも脱ぐのも着こなすのも面倒だろ。更に誰が着ても大して変わらねーっつー・・・あれ?ユエリ。コレなんか裾変だよ?」
「そうなのよ。設計ミスでね。私の身長だとレースがよれちゃって。でもヒールでごまかすにも限界が」
そう言ってドレスから出した足には10センチ以上のハイヒール。
「ねーえ。どっかでモデル捕まらない?ドレスの直しするよりモデル変えたほうがいいんだけど!社長のコネとか!せめて170ある女の子ー!さすがに素肌の背中を星児にやらせるのは無理だからー」
 スタイリストの嘆きに、社長は顔をしかめて遠くを見つめた。聞こえない振り、だろう。
「お。オレ心当たりあるよー?顔写らないんだろ?背も高いし細いし髪長いしアスカと並んでも絵になるよ」
「ダメ。絶対」
「なんでだよー。いいじゃん。そのまま高原デートとかできっかもよ?」
 すでに携帯をスタンバっていた星児が、即座に却下したアスカに食って掛かる。
「ここまで鎌倉から3時間ってとこじゃん。ちょっと休憩してればすぐ来るよ!」
「なんでお前が馨のスケジュール知ってんだよ。たしかに今日明日休みのはずだけども」
「えー。かおるさんのドレス姿、絶対キレイだと思うよ?見てみたいとかおもわねーの?」
 何故か真剣に馨をプッシュしてくる星児に一瞥をくれて、
「結婚前の女性がウェディングドレス着ると婚期逃すって言うんだよ」
 ボソリと言い捨てる。
「目の前にすでに着てる人が居るのによく言ったわね。私が結婚出来ないとでも?」
「いや、ユエリが本気で結婚する気があるなら、偽装とはいえ俺と婚約なんてしなかっただろ」
「…そう言えばそうね。する気も無いのに逃すはずなんかなかったわ。あら。あらあら?え。やだ。もしかして…予定日いつなの?馨センパイ、体大丈夫?」
「は…?」
「おい。アスカ、お前そういうところは抜かり無いと思ってたが?親父は日本に居ないし、ここは俺が代理でご両親に挨拶を…」
「え?何?どういう事?」
 ひとり話についていけてない星児が置き去りなのはいつものことで、勘違いも甚だしい二人は勝手に話を盛り上げていく。
 アスカは盛大に溜息をついた。
「まだなんも居ねぇよ。そのうちいつかの話だっての」
 そもそもうっかり出来るようなことはしていないつもりだし、と続けるが、それには怪訝な視線が二つ突き刺さる。
「まぁ、さ。誰かが相続放棄したおかげで何をするにも大げさで面倒なことになることは間違いないんだから。それなりに準備してからだろ。一応俺だってまだ学生なんだし。出席日数足りてなくて学長にアタマ下げてどうにかしてもらうぐらいではあるけども…」
 この先準備にかかりそうな手間を考えると一生分のメンドクサイがいっぺんに押し寄せてきそうな気がして、軽く頭を振ってそれを思考の外に追いやる。いざ始めてしまえば終わるまで突っ切るだけだ。今考えても仕方ない。
 「意味わかんねーっつーの!結局かおるさん、呼んでいいの?」
 携帯を振りかざす星児の手元で、握りしめたそれがメールの着信を知らせる。
「あれ?笛打メールだよ?ナニナニ…」
 メールを開いた星児の表情が、一瞬で険しい物へと変わる。
「アスカ!コレ」
 ディスプレイをアスカとユエリに向ける。そこには銀誓館襲撃の文字。
「…俺らが居ないときに限って面白そうなことが起こるよな」
「面白うそうって不謹慎よ、星ちゃん。でも鎌倉が危ないんじゃない?馨センパイ大丈夫かしら」
「なんかあっても、バイクで2時間で帰れるだろ。馨だって能力者だったんだし、危険ぐらい察知出来る」
 銀誓館学園卒業生の3人は、真っ青な空を見上げた。鎌倉方面の空も、他と変わらず雲ひとつない澄んだ青色だ。
「真昼に連絡しとくな。なんかあったらかおるさんのとこ行けって」
「いざとなったらユエリ、馨のこと頼むな」
「任せて。そっちはそっちで、前線で頑張って」
 どうせ戦いにいくんでしょ、と。護るために守るより、護るために戦う。幼なじみたちの性分。
 スタッフが苦肉の策と、雑誌を紐でくくっただけの足場を用意したところで、撮影が再開される。
 自分に向けられたシャッター音を聞きながら、アスカは先程の会話を思い浮かべ、そしてすっかり忘れていた存在を思い出す。
 一枚の写真。
 確か、知り合いの写真家にもらった砂漠の写真集に挟んでラックに仕舞ったはずだ。
 ソーマの引越しの日に見つけて以来、時折思い出すものの、どう対処しようか考えあぐねている間に随分の時が経ってしまった。
 両親の存在。自分自身、あまり馴染みのないものであると同時にその大切さもよくわかる。
 まぁ、いいか。
 ナイトメアの騒ぎが収まったら暇を見つけてソーマを探しに行ってみるかな。
 そうして、再びアスカの脳から追い出される記憶。
 果たして、再び思い出されることはあるのか。または思い出されてもソーマに連絡をとるのか。自他共に認められまくりの不精者だけに、実行に移される確率は極めて低いのだけれど。

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 この作品は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、山田アスカが作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は山田アスカに、著作権は香寺藍絵師に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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